藍染の原料となる蒅は、畑で収穫し乾燥させた葉藍を寝床に広げ、水を打ち、満遍なくかき混ぜ発酵させることでつくられます。「寝せ込み」という始まりの日から百日以上、十数回の「切り返し」を経て生まれる蒅。発酵のピーク時には蒅の中心部は摂氏70度ほどにもなり、寝床全体には湯気が立ち込め、むせ返るほどの強い匂いが漂います。五感を使ってよく観察し、発酵の様子をつぶさに感じ取る。人の目には見えないものの、寝床の中は生き物の世界に満ちています。

10月 - 2月 October – February
蒅づくり(寝せ込み,切り返し) Mixing and fermenting the indigo leavesNesekomi, Kirikaeshi)
10月より、乾燥した葉藍を寝床と呼ばれる土間に広げ、水を打ち、空気に触れさせながら満遍なくかき混ぜると、やがて自然に発酵が始まります。この一回目の作業を「寝せ込み」と呼びます。

"寝せ込み"
"乾燥した葉藍に水を打ち、よく混ぜる"
"山に積む"
"寝せ込みから1週間"

その後は発酵状況を確認しながら週に一度のペースで葉藍の山を切り崩し、適宜水を打ち、満遍なく空気に触れさせながらかき混ぜます。その際、発酵が均一になるよう中心部と外側を入れ替えます。この二回目以降の作業を「切り返し」と呼びます。

"水打ち"
"熊手"
"フォーク"
"レーキ"
"羽根"
発酵により熱が発生し、ピーク時の中心温度は摂氏75度に達します。寝床全体には朦々としたアンモニアの湯気が立ち込め、むせ返るほど強い匂いが漂います。
"坊主"
"布団"

10月に始まった「寝せ込み」という作業から100日以上、十数回の「切り返し」を経て生まれる蒅は、年が明けた2月末に発酵が安定し、藍染の原料となる蒅が完成します。その後は表詰めを行い、さらに約半年かけて熟成させていきます。

"蒅"
"俵詰め"

Watanabe's
2024年。今年の夏は厳しい暑さが続きましたが、定期的に降る雨のおかげで、藍は予想を超えるほど力強く成長してくれました。連日の猛暑による疲労感や、突発的な線状降水帯による豪雨に対応しながらも、皆で力を合わせ、無事に良質な葉藍を収穫することができました。チームの皆、支えてくださった皆さまに心から感謝申し上げます。